数週間、あるいは数ヶ月。魂を込めて描き上げたアクリル画がついに完成したとき、最後に忘れてはならない「仕上げの儀式」があります。それが**バーニッシュ(保護ニス)**です。
「描き終わったから、これで完成!」とそのまま壁に飾ってしまうのは、実は少し危険です。空気中のホコリ、タバコのヤニ、そして何より色を褪せさせる紫外線……。大切な作品を10年、20年、そして一生守り抜くために、プロの画家が必ず行うバーニッシュの秘訣を伝授します。
1. なぜバーニッシュが必要なのか? 3つの大きな理由
アクリル画にバーニッシュを塗る理由は、単に見た目を整えるだけではありません。
- 物理的なバリア: 表面に透明な膜を作ることで、ホコリや汚れが直接絵の具に付着するのを防ぎます。数年後、汚れが気になったらバーニッシュだけを拭き取って塗り直す(修復する)ことも可能です。
- UVカット効果: 多くのバーニッシュには紫外線吸収剤が含まれています。室内光や日光による退色から、繊細な色を守ります。
- 質感の統一: 描き進めるうちにバラバラになった「ツヤのムラ」を一気に整え、作品に高級感を与えます。
2. 「ツヤ・マット」どっちを選ぶ? 印象を左右する選び方のコツ
バーニッシュ選びで最も悩むのが、仕上がりの質感です。あなたの作品の「性格」に合わせて選びましょう。
| 種類 | 特徴と効果 | おすすめの作品 |
| グロス(グロスバーニッシュ) | 濡れたような深いツヤ。色が濃く鮮やかになり、コントラストが強まる。 | 鮮やかな抽象画、力強い油彩風の厚塗り、宇宙や夜景など。 |
| マット(マットバーニッシュ) | 反射を抑えた、しっとり落ち着いた質感。光の反射を嫌う展示に向く。 | 繊細な風景画、水彩風の淡い表現、ポートレート。 |
| サテン(サテンバーニッシュ) | グロスとマットの中間。上品な「半つや」で、最も自然な仕上がり。 | 初心者の方にまずおすすめ。どんな作風にもマッチします。 |
プロの裏技: グロスとマットを混ぜて、自分好みの「オリジナルなツヤ加減」を作ることも可能です。
3. 失敗しないバーニッシュの塗り方:極意のステップ
「バーニッシュを塗ったら泡だらけになった!」「白く濁った!」という悲劇を防ぐための手順です。
ステップ1:完全に乾燥させる(最重要!)
アクリル絵の具は表面はすぐ乾きますが、内部まで完全に乾燥するには時間がかかります。描き終わってから最低でも72時間(3日間)、厚塗りの場合は1週間は待ってから塗りましょう。
ステップ2:ホコリを徹底除去
柔らかい筆やエアダスターで、表面のホコリを完全に飛ばします。ここでホコリを巻き込むと、そのまま一生閉じ込めてしまうことになります。
ステップ3:泡立てないように塗る
- リキッドタイプ: ボトルを激しく振るのは厳禁!泡が消えなくなり、画面に残ってしまいます。ゆっくりと混ぜたら、広めの平筆で「一方向」にスーッと引くように塗ります。
- スプレータイプ: 画面から30cmほど離し、画面の外から吹き始め、外で終わるように往復させます。一度に厚塗りせず、薄く数回に分けて重ねるのが「失敗しない描き方」の基本です。
4. 「失敗した!」とならないための注意点
- 湿度に注意: 雨の日や湿度の高い日に塗ると、乾燥過程で湿気を閉じ込め、表面が白く曇る(ブラッシング現象)ことがあります。晴れた日の午前中に作業するのがベストです。
- 薄塗りを繰り返す: 一度にドバッと塗ると、乾く前に液垂れしたり、筆跡が強く残ったりします。「薄く1回塗り、乾いたら直角の方向に2回目を塗る」のがプロの技です。
まとめ:バーニッシュは作品への「愛」
バーニッシュを塗り終え、光を美しく反射する画面を見たとき、作品に命が吹き込まれたような感動があるはずです。それは、あなたが心血を注いだ作品が「永遠の命」を得た瞬間でもあります。
選び方や塗り方に慣れてくると、バーニッシュは単なる保護材ではなく、作品の表現の一部になります。ぜひ、最後のひと手間を惜しまず、あなたの傑作を未来へと繋いでください。
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