アクリル画を始めるにあたって、
キャンバス選びは作品の仕上がりを左右する重要な要素です。
サイズ、素材、厚みだけでなく、下地の種類も考慮する必要があります。
この記事では、プロの画家が実践するキャンバスの選び方を、
初心者の方にも分かりやすく解説します。
キャンバスは一般的ですが、わたしの作品で使うのは洋紙がほとんどです。
作品の性質上、紙を選択しています。
洋紙については、別の機会に解説したいと思います。
キャンバスは、一般的で使いやす画材です。
最初はここから始めてみましょう。
キャンバス選びの重要性:作品の表現を最大限に引き出す
アクリル画作品制作においてキャンバスは、
アクリル絵の具を受け止める土台です。
キャンバスの種類によって、
絵の具の発色、質感、耐久性が大きく変わります。
適切なキャンバスを選ぶことで、
アクリル絵の具の特性を最大限に活かし、
作品の表現力を高めることができます。
キャンバスの種類と特徴:サイズ、素材、厚み、下地
キャンバスには、主に以下の種類があります。
サイズ
キャンバスのサイズは、描きたい作品の大きさや、制作スペースに合わせて選びます。
- F規格: 風景画に適した縦横比のキャンバスです。
- P規格: 人物画に適した縦横比のキャンバスです。
- M規格: 風景画、人物画の両方に適した縦横比のキャンバスです。
- S規格: 正方形のキャンバスで、抽象画などに適しています。
- 号数: キャンバスの号数は、大きさを表す単位です。
号数が大きいほど、キャンバスも大きくなります。
素材
キャンバスの素材は、主に以下の3種類があります。
- 綿(コットン): 安価で扱いやすく、初心者の方におすすめです。
- 麻(リネン): 耐久性が高く、プロの画家にも愛用されています。
- 化繊(化学繊維): 伸縮性が少なく、安定した描き心地が特徴です。
厚み
キャンバスの厚みは、主に以下の2種類があります。
- 張りキャンバス: 木枠にキャンバスが張られた状態で販売されています。
- キャンバスボード: 厚紙にキャンバスが貼られたもので、手軽に扱えます。
下地
キャンバスの下地は、絵の具の定着や発色に影響を与える重要な要素です。
- ジェッソ: アクリル絵の具の定着を良くするための下地です。
白色が一般的ですが、黒やグレーなどもあります。 - 油性下地: 油絵で使用される下地で、
アクリル絵の具には適さない場合があります。 - 水性下地: アクリル絵の具に適した下地で
、ジェッソなどが含まれます。 - 半吸収性下地(エマルジョン下地):
アクリル絵の具と油絵の両方に使える物です。
吸収が穏やかなので、艶のある仕上がりで、
アクリルガッシュ、厚塗りにも適しています。
キャンバスの選び方:描きたい作品に合わせて選ぶ
キャンバスを選ぶ際は、以下のポイントを考慮しましょう。
描きたい作品のサイズ
描きたい作品のサイズに合わせて、キャンバスの号数を選びます。
初心者の方は、F3号からF6号程度のキャンバスがおすすめです。
描きたい作品のテーマ
風景画、人物画、抽象画など、
描きたい作品のテーマに合わせて、
キャンバスの規格を選びます。
予算
キャンバスの素材によって、価格が異なります。
予算に合わせて、最適な素材を選びましょう。
現在では、海外製の安いキャンバスもありますが
サイズが日本規格と少し違うことがありますので
額装を考えているなら注意が必要です。
規格外の額縁は、オーダーメイドとなり高額になりがちです。
描き心地
キャンバスの素材や厚みによって、描き心地が異なります。
実際に触れて、自分に合ったキャンバスを選びましょう。
下地の種類
アクリル絵の具を使用する場合は、
水性下地または半吸収性下地が塗られたキャンバスを選びましょう。
キャンバスの号数とサイズ:規格と号数
キャンバスの号数とサイズは、以下の表を参考にしてください。
号数 | F規格 (風景) | P規格 (人物) | M規格 (海景) | S規格 (正方形) |
0号 | 180×140mm | 179×118mm | 227×158mm | 180×180mm |
3号 | 273×220mm | 273×190mm | 273×160mm | 273×273mm |
6号 | 410×318mm | 410×273mm | 410×242mm | 410×410mm |
10号 | 530×455mm | 530×410mm | 530×333mm | 530×530mm |
20号 | 727×606mm | 727×530mm | 727×500mm | 727×727mm |
キャンバスの素材と特徴:素材による違い
綿(コットン)
- メリット: 安価で入手しやすく、初心者の方でも扱いやすい。
- デメリット: 麻に比べて耐久性が低い。
麻(リネン)
- メリット: 耐久性が高く、プロの画家にも愛用されている。
- デメリット: 綿に比べて高価。
化繊(化学繊維)
- メリット: 伸縮性が少なく、安定した描き心地。
- デメリット: 綿や麻に比べて質感が劣る。
基本的には、安価の傾向があるので、練習用に使用したいものです。
キャンバスの厚みと特徴:厚みによる違い
張りキャンバス
- メリット: そのまま描けるので、手軽に始められる。
- デメリット: キャンバスボードに比べて高価。
キャンバスボード
- メリット: 安価で軽量なので、持ち運びや保管に便利。
- デメリット: 張りキャンバスに比べて耐久性が低い。
プロの画家からのアドバイス:キャンバス選びのコツ
- 初心者の方は、F3号からF6号程度の綿の張りキャンバスがおすすめです。
- 本格的にアクリル画に取り組みたい方は、
麻の張りキャンバスを検討しましょう。 - キャンバスの素材や厚み、下地の種類によって、
描き心地が大きく変わります。
実際に触れて、自分に合ったキャンバスを見つけましょう。 - ジェッソを自分で塗る場合は、
ジェッソの種類や塗り方によって、仕上がりが変わります。
ジェッソは、カラーのものもあるので自分で塗るようになれれば、
制作の幅が広がります。 - キャンバスの保管方法にも注意しましょう。
気や直射日光を避け、風通しの良い場所に保管してください。
まとめ:最適なキャンバスでアクリル画を楽しもう
アクリル画のキャンバス選びは、作品の仕上がりを左右する重要な要素です。
そして、額装するかしないかでその仕上げ方も変わってきます。
最近の作家さんは、額なしの方を多く見受けられるようになりました。
額代は、かなりの負担になるので、その辺は、個人の都合になると思います。
基本的に額装は、人でいう服のようなものなので
額の漢字によって、作品の印象が変わってきます。
この記事で紹介した情報を参考に、
自分の作品に最適なキャンバスを選び、
アクリル画の世界を楽しみましょう。